Roman De Gare

気になったことを心を込めてお送りします。

『セッション』ちょこっと『バードマン』

お待たせしました。第87回アカデミー賞(2015)に選ばれ話題になった『セッション』について書きたいと思います。『セッション』は3部門(助演男優、編集、録音)の受賞となっています。

約2ヶ月前にこの作品について激しく論争が行われたのをご存知の方も多いのではないでしょうか?映画評論家の町山智浩氏とジャズ・ミュージシャンの菊地成孔氏が数日に渡ってお互いのブログ上で『セッション』について語っているものです。

【詳細まとめ】映画「セッション」論争『菊地成孔vs町山智浩』 #tama954 #denpa954 - NAVER まとめ

その後山田玲司ヤングサンデーのブロマガ第30号でも話題に上がり、どちらにとっても大切な存在で映画と音楽を大いに愛している人たちなんだけど、オレの女をバカにされて黙ってる訳にはいかない!という様なことからここまで大きくなってしまったのではないかと書いていて、僕もそれに納得したんですが後日更新された菊池さんのブログで「菊池はジャズを愛し、町山は映画を愛してる」という分かりやすい雑なマッチメイクは悪質だと、私は映画も愛してますよ。ということを書いてました。玲司先生のブロマガで納得した僕はまた振り出しに戻された気分になりました…(笑)

今の御時世では炎上のきっかけになりそうな極端な発言は控える傾向にあり、また「クソリプ」というTwitter上でフォローしてない人などからのどうでもいいアドバイス(クソバイス)を受けたりする可能性がある中で、今回の様に町山さんと菊池さんがこんなにも長く論争をするとは珍しい感じがします。なので見習える部分も大いにあると思いました。

では『セッション』とはどういう映画なのか?これから観る人の為に少し紹介します。なんと言ってもインパクトがあるのはあの怖い顔の教師フレッチャー」この人どこかで見たことないですか?2002〜07年版『スパイダーマン』の主人公ピーターがスパイダーマンの写真を売り込む新聞社デイリービューグル誌の編集長役をやったJ・K・シモンズという役者さんです。『スパイダーマン』でもコメディ感のある切れキャラを演じていたので、なんとなくJ・K・シモンズ=いつも怒ってる人のイメージがではないかと思います。そして主人公のアンドリュー、ジャズドラマーを志し音楽学校に通う生徒…なんですが、監督のデイミアン・チャゼルは高校の頃に主人公と同じくジャズドラマーを志していてフレッチャーの様な恐怖で支配するタイプの教師に教わる中で結果として音楽をやめてしまうことになるんです。そしてその後映画業界に入って行き今回の映画を撮ることになると…。

主人公に自分を投影させた復讐の映画になっているんですね。なので本編ではアンドリューはしこたま傷ついて行きます。練習して手から血が出たり、ドラムセットをYOSHIKIばり壊してみたり、二階堂ふみ似の恋人?と別れてみたり…。そんなボロボロの状態でラストは自分を持ち上げといて落としたフレッチャーを舞台から叩き落とさんという具合に激しいドラミングでフレッチャーの筋肉と眼力と罵声に立ち向かうわけです。

そんな内容の映画なので「音楽映画じゃない」と各方面から言われても仕方のないことなんですが、ぼくの楽しみ方はそこまで上品なものではなくて

例えばフレッチャーがアンドリューを自分の超優秀バンドに誘うとき、全然ヘタクソレベルのアンドリューに甘い言葉をかけて調子に乗らせたり、アンドリューと同じクラスのジャイアン的存在のムキムキ君(ライアン)を突然フレッチャーがバンドに呼んでドラムは今日からライアンが叩くからお前は来なくていい。と言ってみたり、とにかく自尊心を削るような嫌がらせをやります。これが実にリアリティがあるんですが、おそらく監督が青春の時期に同じような嫌がらせを受け心底疲れていたんだと思います。

そんな泥臭いシーンや監督が撮影当時28歳で現在30歳の若さは僕らにしてみると希望で、音楽で嫌な目をみて再起し映画を撮ることで昇華しているというのも素晴らしいことに思えるのです。

というのか音楽に僕も一度挫折し映画に救われ、音楽の学校に行ってた頃同じような教師に「才能ないなら練習しろ」という様なことを言われた経験があるので監督と同じような怒りもあるし、今だに音楽に救われる(自分が何か音楽を作って)ことが無いのでこれには共感せざるを得ない。音楽はハッピー!という結末に行きがちな映画の中で「音楽って本当は辛くて厳しい、自分といくら向き合っても人を感動させるには及ばず、でも美しくてかっこいいんだ、まだ僕も救われてないんだけど…。」という全体に流れる監督の想いと復讐というパワーは若い僕の心には最高の癒やしになるんです。

 『バードマン』は音楽が9割ジャズ・ドラムによるものなんですが、演奏していたアントニオ・サンチェスさんも日経新聞“若者がスポ根ものとして観るには良いけど…”と書いています。http://matome.naver.jp/odai/2143011442130302501/2143020348712222603

菊池さんも『バードマン』は音楽も映画も褒めているのでこっちは映画としては大丈夫そうですね。僕も観ましたが斬新な映像と音楽と今のハリウッドの背景をテーマにしたブラックユーモアに完全にやられました。サントラも買っちゃうくらいです。

 『セッション』で長くなってしまったので、『バードマン』についてはこの辺で、レンタルされたらこの2つの作品を見比べてみるのもオススメです。2つともアカデミー賞受賞作ですが全然テイストの違う映画になっていて面白いです。ではまた次回!