巨人に捕食される時代〜オトナ帝国とドラ泣き〜
山田玲司のヤングサンデー第14回『特集・ゼロ年代〜オレンジレンジは何を卒業したのだろう〜』
この回すごく面白かったです。
J-POPで振り返る2000年代と「思い出おじさん」になるなというテーマで玲司先生とおっくんとゲストに志磨遼平(ドレスコーズ)さんが出演していました。
この回からOP映像が付きましたね!女性のナレーションとドレスコーズの「愛に気をつけてね」に合わせて玲司先生の漫画、イラストが流れるというワクワクするOPになってました。
さて本題の「ゼロ年代問題」ですが、約10年前ですね。どうやら10年前くらいのことをダサいと日本人は感じるようで、たしかにオレンジレンジやサンボマスター、修二と彰の青春アミーゴ(野ブタ。をプロデュース)、世界に一つだけの花(SMAP)など消えていった者たちも居ればいまだにその効力を残して影響を与えてるコンテンツなどが浮かびますね。
世間の"オタク"の認識を変えた「電車男」に関しては映画ではオレンジレンジが主題歌を歌っていて、ドラマでは「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」でお馴染みのサンボマスターが歌っています。ぼくは当時小学校3〜4年生くらいで劇中に出てくる胸に「百式」って書いてあるのTシャツ着てましたね〜(笑)
1990年代はハイスタ、LUNA SEA、ジュディマリ、小室、イエモン、米米、XJAPAN等々リズムや歴史など肉体感覚があったバンドが居なくなってしまいます。ゼロ年代はあゆ、倖田來未、モー娘。EXILEなどがイケイケドンドンのバブルを終わらすまいと頑張って来ました。
そして03年04年くらいからJ-POPの「ありがとう」の氾濫が始まります。ロックサウンドとそれに伴う「生き様」は小さい隅の方に押しやられた訳です。その他にもバンプ、ラッド、アジカンから湘南乃風、Perfume、ボーカロイド、セカオワへと続いて行きます。
君を守るよ!生まれてくれてありがとう。マジ感謝☆
傷ついて戦うヒーローや先輩は消え「普通でいいし」と「手の届く範囲の人に感謝しよう」という生温い感覚が広がって行きます。
これはアニメでもその傾向が見えて、大人の問題を排除した「日常系」が増えて行きました。ポケモンは代表格で豊かな自然の中で無限にある生物、ゲーム内ではデータ(デジモン)を捕まえて、仲間にしてポケモンマスターを目指します。主人公のサトシ君は今年で19年目になりますが、まだポケモンマスターになれてません。果てしなくブラックな旅です、最初の頃隣に居た仲間(カスミ、タケシ)はもう居ません。この2人はポケモントレーナーとポケモンブリーダーになってます。サトシだけいまだにノマドなんですねー。
そして妖怪ウォッチなどの旋風が起こり、海外へ留学する調査兵団(進撃の巨人)は減り、身近な海外旅行の感覚のランド、ディズニーへと流れていきます。
もうポケモンやデジモン等が始まって10年以上経つ訳ですから、今の25才くらいの人たちにとっては立派な「思い出コンテンツ」です。
アーカイブがそこら中に転がっていてニコ動などでも盛んに2次創作が行われています。さらには公式が復刻版を出したり、24時間一挙放送をネットでやったり、リメイク版や最新版を作っています。つまり文化が更新されないままイノベーションが起こらないまま、生ぬる〜いほんわかしたデスクトップの日常が広がっているんですが、玲司先生も言ってた通りネットには世界の情報が入ってくるのでエボラにせよイスラム国にせよすぐに不安になれます。
だからこそ「壁」を作ってネトゲやソシャゲ、LINEやTwitterなどへ隠れて「日常系」を延命しようとするんですよね。このままでいいから、これ以上俺たちに負担をかけないでねっと。
しかし諫山先生が「壁」壊しちゃう訳です(笑)
おいおい、俺たちの知らない間に世界は酷いことになってるんじゃないの?
リア充に青春学園生活を奪われてデスクトップやスマフォの前に逃げてきたけれど、顔を見上げればそこには巨人(大人の問題)ですよ。大人たちは知らない知らない巨人なんて俺たち作ってないよーって顔をする人と、玲司先生たちの様に俺らも巻き込まれてるから頑張るよっていう兵長や団長の様な人たちと居ますね。これに気づけるかが大事な2010年代なのでしょう。3.11を経験してるはずですからね。
ただそれでもまだ気づかないフリをするんですね我々…。
戦中のような重い空気の時代に生まれた「風立ちぬ」を観ても
「はぁ〜菜穂子かわいそうだわ〜泣けるね〜ジブリ〜」つって
どうする?(笑)
続きます。
2014年映画WATCH特集
今年観た映画を紹介して行きます。
この正月休み、見逃していた作品を見つけてみて下さい。
2014年劇場で観た作品
〜洋画編〜
『エンダーのゲーム』
『LEGO®ムービー』
『ホビット 竜に奪われた王国』
『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』
『X-MEN フューチャー&パスト』
『ホドロフスキーのDUNE』
『リアリティのダンス』
『複製された男』
『マダム・イン・ニューヨーク』
『ジャージー・ボーイズ』
『めぐり逢わせのお弁当』
『わたしは生きていける』
『ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー』
『NO』
『フランク』
『悪童日記』
『西遊記〜はじまりのはじまり〜』
『ドラキュラZERO』
『フューリー』
『フランシス・ハ』
『インターステラー』
『6才のボクが大人になるまで』
『ベイマックス』
〜邦画〜
『永遠の0』
『渇き。』
『るろうに剣心 京都大火編』
『思い出のマーニー』
『ゴジラ 60周年記念デジタルリマスター版』
『仮面ライダー鎧武&烈車戦隊トッキュウジャー THE MOVIE』
『るろうに剣心 伝説の最期編』
『TOKYO TRIBE』
『1/11 じゅういちぶんのいち』
『少女たちは異世界で戦った』
『寄生獣 前編』
というラインナップになってます。
しかし…残念ながら覚えてないものもチラホラあるようで
思い出したら、次の「レンタルで観た編」で紹介しようと思います。
ではよいお年を!
かぐや姫の物語について
今回はいつもの〈映画感想〉とは違う枠で数回に分けて高畑勲監督最新作「かぐや姫の物語」について語っていこうと思います。まさか自分の書く話しに宮﨑駿監督よりも先に高畑勲監督の話しを書くことになるとは驚きです。
映画は先週観に行ってきました。お客さんは意外にも子供の方が多くて小学校高学年〜中学生くらいの層が一番多かった気がします。
ストーリーはそのまんま「竹取物語」を元に進んでいきます。
冒頭で「今は昔、竹取の翁といふ者ありけり。野山にまじりて竹を取りつつ、よろずのことに使ひけり。名をば、さぬきの造(みやつこ)となむ言ひける。」とナレーションが入りわっさわっさと翁が竹を切っています。もうハっと感じたことだと思いますが、これはおそらく多くの日本人、中高の時に国語の授業で暗記するので「あぁ!」となりますね(笑)僕は聞きながらゾワゾワしました。隣の中学生らしき子らが一緒に合わせて喋るのでゾワゾワ2倍でしたね(笑)気持ちが分からないでもない、覚えたてだろうからさ。
かぐや姫の物語は公開前の最初のニュースでは「今作は全編、日本最古のマンガ《鳥獣戯画》の様なタッチのアニメーションになる。」と発表されていました。鳥獣戯画というのは、うさぎや猿、カエル、狐などの動物が擬人化した絵巻物のことです。
僕がこの鳥獣戯画を初めて見たのは高校3年の時、情報系大学の説明会で教室のスクリーンに映しだされた鳥獣戯画を横スクロールしながらアニメーションにするという映像作品でした。なので「あれをジブリが竹取物語でアニメにするのか」とイメージしやすかったんです。そしてワクワクしていました。
さて公開前のニュースでは鳥獣戯画風の絵になるとのことでしたが、いざ特報(予告編)を観るとそれほど衝撃を感じませんでした。皆さんの印象にも残っていると思いますが十二単をバーっと脱ぎながらかぐや姫が雪の道を走り去っていくシーン…かなりゾクゾクしました。自分が鳥獣戯画に寄せていったイメージよりもアニメになってる!という驚きがあったのです。
そして鑑賞から一週間経った今日。どうしてよりアニメになっているのか?なぜあの鉛筆で書いた様な絵、画面になっているのか謎が解けました。
〜高畑勲、『かぐや姫の物語』をつくる。ジブリ第7スタジオ、933日の伝説〜
というWOWOWで放送したドキュメンタリー番組がありました。
ジブリはドキュメンタリーにすごく積極的です。NHKは宮﨑駿、ジブリスタジオをここ数年間ずっとカメラに収め続けています。最近も何回か放送があったし、ドワンゴによる「夢と狂気の王国」というドキュメンタリー映画も公開されました。
しかし高畑勲監督は「かぐや姫の物語」が完成してないこともあってか、それらのドキュメンタリーに姿を表さないんです。ちょっと出てきても何も喋らないで立っているだけということもしばしば…。
ところがどっこい!!WOWOWのドキュメンタリーめっちゃ出てる!!めっちゃ喋ってるじゃないですか!!!なんだこの裏切りは(笑)そうか別にカメラで撮られていたから、わざわざ直接は関係ない他カメラの前で高畑監督の心境を聞けなかった訳だ…と納得しました。
話しが少しズレましたが、そのドキュメンタリーの中で高畑監督やプロデューサーの西村さんらがこれまでのジブリにはない表現でアニメを作る。前作のホーホケキョ となりの山田くんでやった水彩画の様な絵でもない。今回はその倍以上の繊密な描写で行くと言うことが語られていました。
セルアニメの様な完成したものじゃなくて、その前に書くラフ絵の感じをなぜ出さないのか?あの独特な線の生きた雰囲気こそ臨場感が出て、なにより瞬間を絵にそのまま表現出来そうだ、竹取物語に合いそうだ。ということから「かぐや姫の物語」の挑戦。高畑勲、プロデューサー、ジブリスタッフ、トップクリエイターたちの挑戦が始まったそうです。
そんな話しを聞きながら人物造形・作画設計の田辺修さんの下絵に対して多くのトップアニメ作画陣がクセやセルアニメではいらない線の一本一本をあくまでも田辺さんの最初に描いた絵を忠実に再現していく過程が映し出されるんです。
それはもう僕の鳥獣戯画のイメージはさっさと頭から出て行きました。こんなにもナマモノを扱うが如く繊細にアニメーションを作っていることに感動しました。仕事だな〜職人だな〜と。
「全然分からなかった」――「かぐや姫の物語」、故・地井武男さんの代役を三宅裕司さんが務めていた - ねとらぼ
ブログ記事を書く前に僕はノートに色々下書きをしてから書き始めるんですが、そこで目に留まったニュースが面白かったので紹介します。
本編最後のエンドロールに三宅裕司さんの名前がクレジットされていました。かぐや姫の物語には個性豊かな俳優陣が声優として出ています。なので三宅さんも何かの役をやっているんだろう。でも最後まで分からなかったなー。と思っていたら、なんと地井武男さんの代役で竹取の翁の声をやっていたんですね。たしかに地井武男さんに声が似ている!地井武男さんの翁は物凄く印象的でしたよ。本当に素晴らしかったです。
この辺りの話しも13日(金)にWOWOWで放送される「かぐや姫の物語ドキュメンタリー後編」で観れるといいな〜。
では、今回はこのへんで!次回はもっと作品の話しをしたいと思います。
なぜかぐやは月から地球に来てまた月へ帰ってしまったのか?など
お楽しみに♪
おやすみなさい〜。